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前回の続きです。
花沢さんENDを回避するべく必死で頭を働かせようとする僕。
しかし、そんな事をしている時点で僕の頭がまともに働いていないのは明白です。
冬の寒さもひとしおな長野の深夜、ホテルルートインの一室で僕は夢と現の狭間をさまよっていました。
ふいに。
背筋が泡立つような感覚に見舞われます。
その感覚は、名づけるなら恐怖であり、確信でした。そう、すなわち――
ドアの外に、花沢さんがいる。
いやギャグじゃなくて、当時の僕は本気でそう思ったのです。そして本気で怖かったのです。
不思議と、部屋の外に誰かがいて、花沢さんが廊下を歩いてくるのが分かるのです。
足音が聞こえるのではありません。本来人間ではなしえない領域で、僕は花沢さんの存在を知覚しています。
なぜ花沢さんがここにいるのか?問うまでもありません。
僕を襲いに(性的な意味で)やってきたのです。
音もなく、花沢さんは僕の部屋を扉を開きます。
鍵は閉めたはずなのに、などという疑問はこの異常な状況下ではなんの意味もなしません。
追い払わなくては。せめて逃げるか、助けを呼ばなくては。
しかし、僕の体は動きません。
体を起こすどころか首を回すのすらままならず、のどは思うように空気を震わしません。
なぜ? なぜ体が動かないのだ?
そんな僕の焦りを気に留めず、花沢さん(であろう気配)はベッドのわきに立ちました。
そこで何をするではなく、ただ、僕をじっと見続けています。
僕は「誰だ!」と叫ぼうとしました。
勇気を振り絞ったのではなく、恐怖を紛らわしたいがための蛮勇からくる発声です。
案の定、体の動かない僕の口から出るのは「だ……れぇ……」という怯えた幼女みたいな声。
しかし、それがよかったのでしょう。
花沢さんは声に反応してか、逃げだしたのです。
彼奴の気配がドアから出ていき、完全に消えると同時に、僕の四肢が軽くなります。
急速に覚醒する意識。戻ってくる現実感。
僕はいつもそうしているように、枕のわきに置いた携帯電話をとり、時刻を確認しました。
4時17分でした。
ただの金縛りと言ってしまってはそれまでなのでしょう。
しかし、僕はどうしても忘れることができないのです。
あの僕を見つめていた気配が、去り際確かに「イ゛ソ゛ノ゛ク゛ーン゛」と言っていたことを。
ごめんこの段落は嘘。
花沢さんに呪われたかもしれない 完
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